<八王子市の春の花>(その2)

◎ オニシバリ(鬼縛り)、参考:類似種のナニワズ

オニシバリはジンチョウゲ科・属の落葉小低木で雌雄異株。樹皮が強く鬼でも縛れるということから名付けられた。別名ナツボウズ(夏坊主)といい夏に落葉する冬緑樹。花期は2~4月で夏になると落葉し液果は赤く熟す。

 

ナニワズはオニシバリと同じ科で花の形もそっくりですが花の色が濃い黄色です。オニシバリの花色はご覧のとおり薄黄緑色です。なおこの花は東京薬科大学薬用植物園植栽。

◎ ツノハシバミ(角榛)

ツノハシバミはカバノキ科ハシバミ属の落葉低木で丘陵や山地に広く生息する。花期は3~4月で雌雄同株、雌雄異花。雄花序は穂状の花序を垂らすし、雌花序は数個の花が頭状に集まりイソギンチャクのような花柱が付いている。果実には嘴のような角があるためその名が付いた。

◎ アケビ(木通)、ミツバアケビ(三葉木通)、ムベ(郁子)

アケビはアケビ科・属の蔓性落葉低木で花期は4~5月。葉は5枚の小葉が付く複葉で互生。雌雄同株・雌雄異花で色が白いのが雄花で6本の雄蕊がミカンの房状に付き、色の濃い紫色のが雌花でバナナの果実状の6~9本の雌蕊が付く。花期は4~5月で果実(写真は収集中)は裂開する。

 

ミツバアケビはアケビ科・属の左巻きの蔓性落葉木本。葉は互生し小葉は3枚になる。雌雄同株で花期は4~5月。花序の基部に大型で2~3個の雌花を先端に十数個の小形の丸い雄花を付ける。花に花弁はなく3~4枚で濃い紫色の萼片を付ける。果実は裂開する。

 

ムベはアケビ科ムベ属の常緑蔓性植物。雌雄同株で白い部分は萼で花弁はなく雄花は1本の雄ずいがあり、雌花は3つの雌ずいがあり花期は4~5月。果実はアケビやミツバアケビのように裂開しない。この写真は住宅の垣根の花で自生のものはまだ見つかっていません

◎ 樹木に咲く花(その3):エノキ(榎)、コクサギ(小臭木)、ゴンズイ(権萃)、ニシキギ(錦木)、クマシデ(熊四手)、サルトリイバラ(猿採茨)、イタチハギ(鼬萩)、カヤ(榧)、ヤマハゼ(山黄櫨)、カツラ(桂)、オオバヤシャブシ(大葉夜叉五倍子)、メタセコイア、タブノキ(椨の木)、ブナ(椈)、イヌブナ(犬椈)

エノキはニレ科エノキ属の落葉高木で雌雄同株に雄花、両性花を付ける。花期は4月で葉はオオムラサキやゴマダラチョウの食草になり、10月頃に赤紫色に熟す果実は鳥たちのよい餌になる。

 

コクサギはミカン科コクサギ属で沢沿いの林下に普通に生える雌雄異株の落葉低木。花期は4月で花の時期には香るが普段も枝や葉には特有の臭気がある。カラスアゲハの幼虫の食草。

 

ゴンズイはミツバウツギ科ゴンズイ属の落葉小高木で花期は5~6月。淡黄緑色の小さな花を沢山つけるが目立たない。しかし、果実は9月中頃に真っ赤に熟し良く目立つ。名前は樹皮が魚のゴンズイに似ることから名付けられた。

 

ニシキギはニシキギ科ニシキギ属の落葉低木で丘陵や山地に生えます。花期は4~6月で枝には翼が出来ます。花は小さく色も目立ちませんが葉は見事に紅葉するため庭木にもよく植えられます。果実も真っ赤で綺麗です。

 

クマシデはカバノキ科クマシデ属の落葉高木・雌雄同株・雌雄異花で丘陵や山地の沢沿いによく生える。花期は4~5月で嘉穂がシデの仲間で最も大きいのでクマと、四手とは果穂を注連縄などに垂れ下がる細長い紙に見立てたものです。

 

サルトリイバラはユリ科シオデ属でつる性の落葉低木。茎に刺があるので名付けられた。花期は4~5月で花は目立たないが、赤い果実は秋によく目立つ。

 

イタチハギはマメ科イタチハギ属で北アメリカ原産の落葉低木。花期は5~6月で道路の緑化等のため植栽されたものが、野生化している。

 

カヤはイチイ科カヤ属で山地に生える雌雄別株の常緑高木。花期は4~5月で果実は熟すと割れて種子が出る。カヤの材は高級碁盤・将棋盤になる。

 

ヤマハゼはウルシ科ウルシ属で山地に生える雌雄別株の落葉小高木。花期は5~6月でハゼは冬芽以外毛がないのにヤマハゼは若枝や葉等に毛が生える。

 

カツラはカツラ科カツラ属の落葉高木で高尾では4か所ほどの植林地がある。花期は3~5月で雌雄異株。葉が出る前に枝一杯にフサザクラに似た紅色の雄花を付ける姿は美しい。材は家具や碁盤・将棋盤などに使用される。

 

オオバヤシャブシはカバノキ科ハンノキ属の落葉小高木で葉の大きなヤシャブシのことで花期は3~4月。球果を夜叉に見立て、タンニンを含むため五倍子(ふしと読む。ヌルデの虫こぶ)の代用とした。雌雄同株・異花。雄花は無柄で下垂し、雌花は雄花より上部に付く。

 

メタセコイアはヒノキ科メタセコイア属の落葉高木で雌雄同株。花期は2~3月で雄花は総状花序となって垂れ下がる。生きている化石といわれる。

 

タブノキはクスノキ科タブノキ属の常緑高木でシイ・カシと共に照葉樹林の代表樹。アオスジアゲハの食草で一つの蕾に多くの花を包んでいるのが写真で分る。材は潮風や塩水、火災にも強く古代から船を作る木としても利用されていた。

 

ブナはブナ科・属の落葉高木で、高尾山のように500m前後の低山に生育するのは珍しい。雌雄同株で雄花は新枝の下部に垂れ下がり、雌花は新枝の上部に上向きに付く。子のドングリは多くの野生動物を養うので有名。

 

イヌブナはブナ科・属の落葉高木で材質がブナより劣るという意味でイヌの名が付く。

樹皮が暗灰褐色で皮目にはサメ肌のような模様がありブナにはない「ひこばえ」が生える。

別名クロブナという。花は収集中。

 

◎樹木に咲く花(その4):オオバアサガラ(大葉麻殻)、スダジイ(漢字なし)、センダン(栴檀)、キリ(桐)、オオリキュウバイ(大利休梅)

オオバアサガラはエゴノキ科アサガラ属の落葉高木で山地の渓流沿いに生える。高尾では木下沢に多い。花期は6月で枝先に複総状花序を下げ白い花を多数つける。果実は9~10月に熟し淡褐色の毛を密生する。

 

スダジイはブナ科シイノキ属の落葉高木で本来海岸沿いの山地に多いが、八王子では堂了堂や高幡不動などに生える。多分植生されたものか?雌雄同株、雌雄異花で花期は5~6月で翌年の安芸に熟しドングリになり殻斗は三つに裂ける。

 

センダンは本来暖地の海岸近くに自生するが、公園などに植栽されている。花期は5~6月で2cmぐらいの小さい花を多数つけ、果実は10月頃に淡黄色に熟し野鳥の餌になる。

 

キリはゴマノハグサ科キリ属で中国?原産の落葉高木。材は成長が早く軽くて強いため箪笥や下駄などの器具材として古くから使われている。花期は5月。

 

オオリキュウバイはバラ科ヤナギザクラ属で中国原産の落葉低木。花期は4~5月で、名は千利休が好んだ木といわれるが渡来は明治であり矛盾する?利休梅と同じ仲間。

◎ レンプクソウ(連福草)

レンプクソウはレンプクソウ科の多年草で花期は4月。茎の高さは15cmぐらいで、花は茎の頂に5個集まって咲くため別名五輪花ともいう。上向きの頂花は花弁が4枚、側面の4個は花弁が5~6枚付く。

◎ ワダソウ(和田草)

ワダソウは山の落葉樹林下や縁に生えるナデシコ科ワチガイソウ属の多年草。花期は4~5月で名前は長野県の和田峠に多く生えることから名付けられた。

◎ チョウジソウ(丁字草)

チョウジソウはキョウチクトウ科チョウジソウ属の多年草で花期は5~6月。やや湿った草地などに自生するが近年急激に減少し順絶滅危惧種に指定されている。

◎ ヤエムグラ(八重葎)、ハナヤエムグラ(花八重葎)

ヤエムグラは人家近くの荒地に多く生えるアカネ科ヤエムグラ属の1~越年草で、良く見かける雑草。花期は5~6月で1mmぐらいの小さな花を付けるが、小さすぎてよく見ないと分からないでしょう。果実は2分果からなりそれぞれに種子が1個入る。

 

ハナヤエムグラはヨーロッパ原産の帰化植物でアカネ科ハナヤエムグラ属の1年草。花はタチイヌノフグリと間違えられることがある。花期は5~9月で淡紅色~淡紫色の花を数個付ける。

◎ ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)、サギゴケ(鷺苔:ムラサキサギゴケの白花品種)、トキワハゼ(常盤爆)

ムラサキサギゴケはゴマノハグサ科サギゴケ属の多年草。走出枝を出し四方に広がる。湿り気のある草地に生え花期は4~5月。

 

サギゴケはムラサキサギゴケの白花品種であるが、シロバナサギゴケとは呼ばずサギゴケという。鷺は白色が多いせいでしょうか?ムラサキサギゴケは多く生えるが、サギゴケは少ない。

 

トキワハゼはゴマノハグサ科サギゴケ属の1年草で、花期は4~11月と長い。道端や畑などに見られ、サギゴケと異なり匍匐枝(茎)は持たず花径を伸ばして咲く。

◎ マツバウンラン(松葉海蘭)、ツタバウンラン(蔦葉海蘭)、クチナシグサ(梔子草)

マツバウンランはゴマノハグサ(オオバコ)科マツバウンラン属ででアメリカ原産の越年草で京都で初めて発見された。花期は3月~6月で葉が松葉のように細く、花がウンランに似ているため京都で初めてつけられた。

 

ツタバウンランはゴマノハグサ科ツタバウンラン属のつる性1~多年草で花期は春~初夏。最近はオオバコ科に分類されることもあるが住宅地の石垣の隙間など這うよう(匍匐性)に生える。

 

クチナシグサはゴマノハグサ科クチナシグサ属で半寄生の2年草。日当たりの良い草地や林床に生え花期は4~5月で他の植物の根から養分を吸収するが、自分でも光合成で養分を成長できる。小さい花で茎は地面を這うように伸びるため目立ちにくい。果実がクチナシの果実に似ているため名付けられた。1枚目の写真は大阪府産。

◎ ハコベ(別名:ミドリハコベ(緑繁縷))、ウシハコベ(牛繁縷)、ミヤマハコベ(深山繁縷)、サワハコベ(沢繁縷)、ノミノフスマ(蚤の衾)、ノミノツヅリ(蚤の綴り)、オランダミミナグサ(阿蘭陀耳菜草)、ミミナグサ(耳菜草)

ハコベ(ミドリハコベ)はナデシコ科ハコベ属の越年草で春の七草の一つ。畑や道端などに群生し花期は3~9月。雌蕊の花柱が3個で茎が緑色であるのが特徴で雄蕊は4~10個。コハコベは茎が暗紫色を帯び、雄蕊は1~7個と少ない。ウシハコベの雌蕊の花柱は5個。

 

ウシハコベはナデシコ科ハコベ属の越年草または多年草で至る所に生える。花期は4~6月が多いが年中咲く。よく似たハコベ、コハコベは花柱が3個であるがウシハコベは5個。ハコベより大型というのが名前の由来。

 

ミヤマハコベはナデシコ科ハコベ属の多年草。沢沿いの道等にハコベに似た白い花を4月下旬から6月上旬に咲かせる。花は5弁であるが深く切れ込むため10弁に見える。ハコベの仲間では特に大きな花を付けるのでわかる。

 

サワハコベはナデシコ科ハコベ属の多年草で林下の湿ったところに生える。花期は5~7月で普通5枚の花弁は切れ込みが浅い。

 

ノミノフスマはナデシコ科ハコベ属の2年草で、野原や荒地に生える。名前は小さな葉を蚤の衾(夜具)に見立てたもの。花弁は5弁で2深裂する花期は4~10月。葉は長楕円形、無柄で対生する。

 

ノミノツヅリはナデシコ科ノミノツヅリ属の1~越年草で花期は3~6月。ノミノツヅリのうち茎・葉等全体に腺毛があるものをネバリノミノツヅリ(粘り蚤の綴り)という。帰化植物らしい。舗装道路等の間隙雑草として繁殖している。花弁は5枚で萼より短い。葉は広卵形~長卵形で対生する。

 

オランダミミナグサはヨーロッパ原産の帰化植物でナデシコ科ミミナグサ属の越年草。花期は3~5月で都会などどこでも見られる雑草です。ミミナグサとよく似ているが、小花柄が短く茎にほとんど接して咲く。また萼片が花弁より短く、閉じたとき花弁がはみ出る。

 

ミミナグサはナデシコ科ミミナグサ属の越年草で。小花柄だが長く1cmぐらいで、萼片と花弁の長さがほぼ同じで閉じたとき花弁が隠れる。

 

コハコベは捜索中。

◎ カタバミ(片喰)、アカカタバミ(赤片喰)、タチカタバミ(立片喰)、ムラサキカタバミ(紫片喰)、イモカタバミ(芋片喰)

カタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草で庭や道端などに生える。葉は緑色で花期は5~9月。繁殖力が強く駆除しにくい雑草です。

 

アカカタバミはカタバミの1品種で葉が赤紫色のものをいい花期は5~9月。

 

タチカタバミはカタバミの1品種で、北アメリカ原産の帰化植物で日本では40~50年前に発見された。地上茎はすべて地上を横に伸びる根茎から立ち上がり、葉が密集して付くように見える。花期は5~9月。

 

ムラサキカタバミは南アメリカ原産の帰化植物で地下には芋状の根塊がある。花期は5~7月で花の中心が淡緑色で葯は白い。

 

イモカタバミは南アメリカ原産の帰化植物で芋状の根塊があり、小芋で増え群生する。花期は6~7月でムラサキカタバミとよく似るが、こちらは花の中心が濃い赤色で葯は黄色。

◎ シラユキゲシ(白雪芥子)

シラユキゲシは中国原産のケシ科シラユキゲシ属の耐寒性多年草。花期は4~5月で半日陰の湿ったところに生える。

◎ ノビル(野蒜)

ノビルはヒガンバナ科ネギ属の多年草で明るい土手や野原に生え、花期は5~6月。白い球状のコン根茎は野草として食される。花の先端にできる球状のムカゴで増える。

◎ ケジャニンジン(毛蛇人参)

ケジャニンジンはアブラナ科タネツケバナ属の1~多年草で山地の日影や湿った場所に生え花期は4~5月。花弁は退化していることもある。果実に毛がないものをジャニンジンという。

ヘラオオバコはオオバコ科・属の1年草でヨーロッパ原産の帰化植物。花期は5~7月で荒地や道端に生える。葉が細長く箆形をしているため名付けられた。

◎ チガヤ(茅)

チガヤはイネ科チガヤ属の多年草で日当たりのよい土手や草地に群生する。花は赤紫色の雌蕊と雄蕊の葯が良く目立つ。

◎ キキョウソウ(桔梗草、別名:段段桔梗)

キキョウソウはキキョウ科キキョウソウ属の1年草で北アメリカから関東以西に帰化したもの。

花期は5~6月で荒地、草地や畑地などに生え、キキョウに似た小さい青紫色の花が段段になって付くことから別名段段桔梗とも呼ばれる。

◎ オニノゲシ(鬼野芥子)

オニノゲシはヨーロッパ原産のキク科ノゲシ属の帰化植物で荒地や道端に生える。花期は4~10月と長いが春の花に入れました。葉の刺が鬼といわれるぐらい鋭い。この写真は4月撮影なのでまだ小さいが、ノゲシより大型で1m以上にもなる。

◎ タチガシワ(立柏

 

タチガシワはガガイモ科カモメヅル属の多年草。花期は4~5月で山地の木陰などに咲く。他のガガイモ科の花と同じく結実するのは少ない。

◎ カナビキソウ(鉄引草)

カナビキソウはビャクダン科カナビキソウ属の半寄生多年草で、葉緑素を持ち光合成をすることもできるが他の植物の根に寄生する。花期は4~6月で日当たりの良い草地に生える。このカナビキソウは小仏城山から大垂水峠に向かう南斜面に生えていた。

◎ セリバオウレン(芹葉黄連)

セリバオウレンはキンポウゲ科オウレン属の山地に生える多年草で花期は3~4月。両性花もある雌雄異株で小葉はセリのように細かく切れ込む。根茎が節状に連なっており黄色をしているため名付けられた。

◎ ノヂシャ(野萵苣)

ノヂシャはスイカズラ科ノヂシャ属の1~越年草でヨーロッパ原産の帰化植物。花期は5~6月で道端などに生える。萵苣とは中国語でレタスのこと。

◎ セイヨウミヤコグサ(西洋都草)、ミヤコグサ(都草)

セイヨウミヤコグサはマメ科ミヤコグサ属の多年草。ヨーロッパ原産の帰化植物でミヤコグサとよく似ている。花数は3~7個とミヤコグサの2~3個に比べて多く、茎や萼に白い毛が多い。花期はミヤコグサより長く10月頃まで見られる。

 

ミヤコグサはマメ科ミヤコグサ属の多年草。日当たりの良い草地などに生え、花期は4~6月。この花は町田市で撮影した。明確に区別できないがこちらではないかと思う。

 

◎ セキショウ(石菖)

セキショウは水辺に生えるサトイモ科ショウブ属の常緑多年草。根茎はショウブと同じく薬用にする。花期は3~5月。