<八王子市の夏の花>(その2)

◎ トチバニンジン(栃葉人参)

トチバニンジンはウコギ科トチバニンジン属の多年草で山地の林内に生える。花期は6~8月で掌状複葉の中心から1本の茎を出し球状の散開花序に黄緑色の小さな花を多数つける。

◎ オオカナダモ(大カナダ藻)スイレン(睡蓮)、オモダカ(面高)、ナガバオモダカ(長葉面高)、アギナシ(顎無)、サジオモダカ(匙面高)、トウゴクヘラオモダカ(東国箆面高)

オオカナダモはトチカガミ科オオカナダモ亜科の多年草でアルゼンチン原産の帰化植物。河川や湖沼に広く繁茂し常緑の沈水植物です。花期は6~10月で雌雄異株だが日本には雄株しか帰化していない。

 

スイレンはスイレン科・属の多年草で花期は6~9月。花は白色か紅色。外来種が野生化したものだが、花は未の刻(午後2時)頃に咲くため、ヒツジグサ(未草)ともいわれる。

 

オモダカはオモダカ科・属の多年草で最近増えてきた水田雑草。花期は8~10月でオモダカの根の先に出来る根茎を食用に栽培育成したものがクワイ。葉を人の顔に見立て葉が水面より高くなることから名付けられた。

 

ナガバオモダカはオモダカ科・属の水生植物で花期は3~9月である。花はオモダカとそっくりであるが、オモダカの葉は鋏三角形でナガバオモダカの葉は長楕円形である。花期が3月からと早いが比較のため夏の花としました。

 

アギナシはオモダカ科・属の多年草で水生植物。花期は7~10月でオモダカとの違いは根元に粒上のムカゴを多数つけるので引き抜けば見分けがつく。花径は最大100cmになり3枚の白い花が輪生する。花は午前中に咲き午後に萎む。

 

サジオモダカはオモダカ科サジオモダカ属の多年草で湿性植物。花期は7~9月で花径は最大120cmになり盛んに分枝する。葉はスプーン状であるため名付けられた。花は午後に咲き萎む。

 

トウゴクヘラオモダカはオモダカ科サジオモダカ属の多年草で湿性植物。花期は7~9月で花径は100cmになり先に3個づつの白く花弁がギザギザの花を付ける。葉は線状長楕円形または長楕円形で名前のいわれとなっている。花は午後に咲き萎む。

◎ ヤブカラシ(藪枯らし)、ノブドウ(野葡萄)、エビヅル(海老蔓)

ヤブカラシはブドウ科ヤブカラシ属のつる性多年草で、畠や藪、荒れ地などに生え成長力が強く藪を枯らすほど繁殖するため名付けられた。そのため別名貧乏蔓ともいわれ嫌われる。花期は6~8月で朝開花し雄蕊と緑色の花弁は午前中に落ちる。染色体は3倍体がほとんどで種のできる2倍体の株は少ない。

 

ノブドウはブドウ科ノブドウ属で山野に生える落葉つる性木本。茎は毎年枯れる蛾基部は残り成長する。花期は7~8月で花は黄色い雄蕊と緑色の花弁が早く落ちるため完全な花を見つけるのが難しい。果実は紫色や青色に変化する。葉先は3~5裂する。

 

エビヅルはブドウ科・属のつる性低木落葉樹で山野に生え、葉は互角形の心状円形で30cmぐらいの大きさになり浅い鋸歯があるが、通常は3裂する。花は早く花弁が落ち雄蕊・雌蕊が残っており、完全な花を見るのは難しい。

 ヤブコウジ(藪柑子、別名十両(ジュウリョウ))、参考:カラタチバナの果実(別名:百両、上高地岳沢登山道産)、センリョウ(千両:庭木)、マンリョウ(万両:庭木)

ヤブコウジはヤブコウジ科・属の常緑低木で別名十両とも言います。7~8月頃林の下で小さな株に咲く花は小さくて下向きに咲くので目立ちませんが、実は赤く万両、千両と共に正月の飾りとして使用されます。


カラタチバナ(別名:百両)はヤブコウジ科・属の常緑小低木。日本に自生するのに唐橘と名付けられた理由は不明。上高地岳沢登山道産ですが参考のため掲載しました。


センリョウ(千両)はセンリョウ科・属の常緑小低木。伊豆半島以南に自生するが、この写真は庭木。参考に掲載しました。

 

マンリョウはヤブコウジ科・属の常緑低木で関東以西の常緑樹林内に生える。この写真は自生ではなく庭木です。十両(ヤブコウジ)との比較のため掲載しました。

 

なお、関東以西の林内に生えるアカネ科のアリドオシ(イチリョウ(一両))を捜索中です。

◎ メリケンムグラ(米利堅葎)

メリケンムグラはアカネ科オオフタバムグラ属で北アメリカ原産の帰化植物。花期は8~9月の1年草でやや湿った場所に生育し、基部から基部から四方にマット状に広がる。最初、岡山県で見つかり東海以西に生育するといわれるが、八王子にもありました。

◎ ヤマトラノオ(山虎の尾)

ヤマトラノオはオオバコ科ルリトラノオ属の多年草で、山地の明るい草原などに生える。8月5日に撮影した時は白色でしたが、8月28日に撮影した時は青紫色でした。同じ花の色が変化したと思われます。

◎ オオヤマハコベ(大山繁縷)、ナンバンハコベ(南蛮繁縷)

オオヤマハコベはナデシコ科ハコベ属の多年草で花期は8~10月。山地の湿った林内などに生え、径2cmぐらいの小さな白い花を疎らにつける。

 

ナンバンハコベはナデシコ科マンテマ属のつる性多年草で山野に生える。花期は6~10月で、花の咲き始めは普通のハコベに似るが果実が大きくなり始めると花弁、雄蕊、萼片が非常にに大きくなり繁縷とは思えなくなる。名前に南蛮と付くが日本の在来種です。

◎ イタドリ(虎杖)(別名:スカンポ)

イタドリはタデ科ソバカズラ属の多年草で山野に生え花期は7~10月。別名スカンポといわれ春に出る筍に似た若芽は水分が多く生食できる。

◎ ウド(独活)

ウドはウコギ科タラノキ属の多年草で山野に生え花期は8~9月。「ウドの大木」とは茎が固く2~3mと大きくなっても役に立たないこのウドのようだということ。

◎ アメリカオニアザミ(亜米利加鬼薊、別名セイヨウオニアザミ)

アメリカオニアザミは別名セイヨウオニアザミでヨーロッパ原産の外来種。キク科アザミ属の多年草。花期は7~10月で葉や茎、総苞片には長く鋭く強い棘があり触るのに注意を要する。要注意外来種に指定されているが、棘のためか駆除しにくい。

◎ マルバダケブキ(丸葉岳蕗)、メタカラコウ(雌宝香)

マルバダケブキは山地の湿った林下や草地に生えるキク科メタカラコウ属の多年草。大型で草丈は80~120mmにもなる。奥多摩では大井が奥高尾で私が見たのはこの一カ所だけです。

 

メタカラコウはキク科オタカラコウ属の湿った草原に生える多年草。花期は6~9月で花弁は5枚だが2枚は小さく3弁花のように見える。宝香とは防虫剤や香料にする竜脳香のことでオタカラコウより小さいことから名付けられた。

◎ メハジキ(目弾き)、キセワタ(着せ綿)

メハジキはシソ科メハジキ属の1~越年草で道端や荒れ地に生える。花期は7~9月で茎は直立して高さ50~150cmにもなり、よく似た花のキセワタの葉が卵形または狭卵形なのに対し、最上部の葉は倒披針形で分裂しないが下部の葉は3裂~全裂し更に裂片は羽状に切れ込んで線状披針形となる。

 

キセワタはシソ科メハジキ属の多年草で山地や丘陵の草地に生える。花期は8~9月で花には白い毛が密生し綿を着せたように見えるところから名付けられました。花茎は60~100cmにもなります。

南高尾で撮影しました。

◎ ミソハギ(禊萩)

ミソハギはミソハギ科・属の多年草で湿地に生え高さ50~100mになる。花期は7~8月で苞葉の脇に2~3個宛付く。