<八王子市の春の花>(その1)

高尾山とその周辺の八王子市で私が撮影した1月~5月に見られる花を集めてみました。

始めてみるとあまりにも種類が多く、どのように分類すればいいか分かりませんでしたが、思いつくままに掲載しましたので、見て楽しんでいただくだけでうれしいです。

何分素人のことですので名前や説明などに誤りがあるかと思いますが、ご指摘いただくと幸いです。また、不明のものも教えていただければ幸いです。

写真をクリックして大きくし、またスライドショウでお楽しみください。

◎ 早春に咲く樹木の黄色い花:ロウバイ(蝋梅)、マンサク(満作)、アブラチャン(油瀝青)、ダンコウバイ(檀香梅)、サンシュユ(山茱萸)、ミツマタ(三椏)、キブシ(木五倍子)、シキミ(樒)、スギ(杉)、トサミズキ(土佐水木)

樹木の花に限らず早春に咲く花の色はなぜか黄色が多い。

 

1月にはロウバイが咲く。花の色が蝋のようなので名付けられたというがなかなか良い香りがする。早春の花というより、冬の花かもしれない。ロウバイ科・属の落葉低木。

色んな栽培品種があるが、ワロウバイはロウバイの基本品種で花の中心部が暗紫色でその周囲が黄色、ソシンロウバイは花全体が黄色で最もよく栽培されている。 

  

早春の花で「まず咲く」からまたは花が沢山咲くので「豊年満作」から名付けられたというマンサク。花弁が縮れた姿が面白い。マンサク科・属の落葉小高木。

 

アブラチャンはクスノキ科クロモジ属の落葉低木で、果実や樹皮の油を灯火用に使用したことで名付けられたという。雌雄異株で沢沿いなどに多い。

 

ダンコウバイはクスノキ科クロモジ属の落葉小木。早春の谷間等でその黄色い花が目立つ。

 

サンシュユはミズキ科の落葉小木で、早春に咲く黄色の花であるが、駒木野バス停前の関所跡にある大木の花は見事です。秋にはご覧のとおり赤い実になります。

 

ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木であるミツマタは昔から紙の原料として知られる。園芸種には赤い花もある。名前の通り三又になった枝の先に花が咲く。

 

キブシはキブシ科・属で雌雄異株の落葉低木。3月下旬から日当たりの良い林縁等で房状の花を付ける。 

 

シキミはモクレン科シキミ属の常緑高木で、果実に猛毒があり「悪しき実」が語源という。葉や樹皮を粉末にして香として使うし、枝は仏前や墓前、関西では葬儀に使用する。花は3月から咲く。

 

スギはまっすぐな木という「直木」が語源で、ヒノキ科スギ属の常緑針葉樹。花は早ければ2月頃から咲き、実は9月頃になる。花の花粉は悪役としてあまりにも有名。

 

トサミズキはマンサク科トサミズキ属の落葉低木で土佐だけに自生し、他は庭園樹として植栽される。3~4月に穂状の花序を垂らし黄色い花を付ける。

 

◎ 変わった桜:フサザクラ(房桜)、ウワミズザクラ(上溝桜)、イヌザクラ(犬桜)

フサザクラはフサザクラ科・属の落葉高木。花が房状に付き樹皮や花が桜に似ているため名付けられたというが桜の仲間ではない。花期は3~4月で沢筋に多い。

 

ウワミズザクラはバラ科ウワミズザクラ属の落葉高木。花は4~5月にブラシ状に付けるちょっと変わった桜。ウワミズザクラの花序枝には葉があります。

 

イヌザクラ(犬桜)もバラ科ウワミズザクラ属の落葉高木。花期は4月下旬~5月下旬で前年枝から総状花序を出すウワミズザクラとの見分けは、花序枝には葉が付かないことです。

◎ 雑木林の代表:クヌギ(櫟)、コナラ(小楢)、アカシデ(赤四手)

クヌギ、コナラはブナ科コナラ属の落葉高木、アカシデはカバノキ科クマシデ属の落葉高木で、共に雑木林の代表的な樹木の花。垂れ下がっているのはいずれも雄花で、雌花は短く小さいので目立たない。クヌギの雌花は新葉の上部の葉腋に、コナラの雌花は本年枝の上部の葉腋に付く。クヌギとコナラではクヌギのほうが少し焦げ茶っぽい花の色をしている。いずれも4月中旬ころから咲く。

◎ モミジの仲間:イロハモミジ(伊呂波紅葉)、オオモミジ(大紅葉)、ヤマモミジ(山紅葉)、ヒナウチワカエデ(雛団扇楓)

最初の3種はカエデ科・属の落葉高木。

 

イロハモミジは葉の大きさが最も小さく幅4~5cm。イロハカエデともいわれもっともよく知られている。プロペラ型の翼のある果実が面白い。

 

オオモミジは葉の多きさ6~9cmと最も大きく、ヤマモミジと比べ葉の鋸歯が小さい。

 

ヤマモミジは鋸歯が荒く、日本海側や北日本で見られるが、この木は公園にあったもので植栽されたものでしょうか。

 

ヒナウチワカエデはムクロジ科カエデ属の落葉高木で低山の沢沿いに多い。 ハウチワカエデより葉が小さいことから名付けられた。オオイタヤメイゲツと似るがより小さくて薄く鋸歯が不揃い。」

◎ トチノキ(栃木、橡木)、ベニバナトチノキ(紅花栃木)

共にトチノキ科・属の落葉高木。

 

トチノキは5~6月にキャンドルのような白い花を付け掌状複葉を持つ木の代表。秋には実をつけ食用になる。山地の沢沿いに生える。

 

ベニバナトチノキはセイヨウトチノキ(マロニエ)と北アメリカ原産のアカバナトチノキとの雑種。公園樹として植えられることが多い。

◎ ホウノキ(朴木)

ホウノキは丘陵から山地に生える20~30mにもなるモクレン科・属の落葉高木でその葉も30cmぐらいはある。花は5月上旬から6月上旬ごろ咲く大きな白い花で芳香も漂う。大きな葉は朴葉焼きとして料理の容器としても使用される。我が家の近くでは、アカゲラがこの果実を食べに来る。

◎ ミツバツツジ(三つ葉躑躅)、トウゴクミツバツツジ(東国三つ葉躑躅)、 ヤマツツジ(山躑躅)、バイカツツジ(梅花躑躅)

ミツバツツジは雄蕊は5本。4月中旬頃から低山のまだ緑が少ない林内でピンク色の良く目立つ花を付ける。ツツジ科・属の落葉低木。

 

よく似たトウゴクミツバツツジの雄蕊は10本。この写真は薬王院で撮影したもので植栽されたものかもしれない。奥多摩には多い。ツツジ科・属の落葉低木。

 

ヤマツツジはツツジ科・属の半落葉低木で、4月下旬頃から山地の尾根筋の林内などでオレンジ色の新緑の中で良く目につく花を咲かせる。

 

バイカツツジはツツジ科・属の落葉低木で山地に生える。高さは1~2mぐらいで葉は互生。花期は6~7月上旬で花は新葉の下に1~数個横向きないし下向きに付き、大きさは約2cmと小さく目立たない。

夏の花に入れるべきかもしれないが比較のためここにいれた。

 

 

◎ エゴノキ、ハクウンボク(白雲木)

共にエゴノキ科・属の落葉小高木。

 

エゴノキ。チシャノキともいう。雑木林などに多く、白い花が5~6月に下向きに咲き、花には長い柄がある。花後ポロポロと下に落ちる。

 

ハクウンボクは山地に生える落葉高木。白い花が固まって咲くさまを白雲に見立てた。公園木として植えられることもあるが、花期は5~6月で高尾では「いろはの森」にみられる。

◎ ジャケツイバラ(蛇結茨)

ジャケツイバラはマメ科ジャケツイバラ亜科のつる性落葉低木で、陽当りがよく湿った沢沿いの林縁等にあり、枝をツルのように伸ばし高木に絡みつく。花期は4月~6月で枝先に筒状に花を付ける。

◎ 樹木に咲く春の花(その1):アセビ(馬酔木)、クサボケ(草木瓜)、ウグイスカグラ(鶯神楽)、ネコヤナギ(猫柳)、クロモジ(黒文字)、ミヤマシキミ(深山樒)、ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)、アオキ(青木)、グミ(茱萸)の1種、ユリノキ(百合の木)、ミズキ(水木)、ヤマグワ(山桑)、コブシ(辛夷)、フジ(藤)、イイギリ(飯桐)、イチョウ(公孫樹)、カシワ(柏)、オニグルミ(鬼胡桃)、ヒメグルミ(姫胡桃)、イボタノキ(水蝋の木)、ヒマラヤトキワサンザシ(ヒマラヤ常盤山査子:ピラカンサ)

アセビはツツジ科アセビ属の落葉低木~小高木の有毒植物で馬が食べると酔ったようになるため馬酔木と名付けられた。3~4月に咲き庭木などにも植えられている。 

 

クサボケは日当たりの良い土手や林縁等で4~5月に咲くバラ科ボケ属の落葉小低木。秋には黄色に熟す果実ができる。

 

ウグイスカグラはスイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で、ウグイスが囀る頃、3月中旬ころから明るい林の中などで咲く。よく似たミヤマウグイスカズラの葉や花、果実等に腺毛が密生するのでわかる。

 

ご存知、ネコヤナギはヤナギ科・属の落葉低木で水辺によく見られ、葉が出る前3月から咲き始め赤い葯から黄色い花粉を飛ばす。

 

クロモジはクスノキ科クロモジ属の落葉低木で、明るい雑木林で4月頃葉が出るのと同時に黄色い花の塊を付ける。材は高級楊枝として使用される。樹皮にある黒い班を文字と見たもの。よく似たシロモジは葉が3分裂するがクロモジはしないので区別できる。

 

ミヤマシキミはミカン科ミヤマシキミ族の常緑低木で雌雄異株。高尾山の尾根筋でよく見られ、4~5月頃花を付け冬には赤い実がよく目立つ。幹の基部から地を這うように伸びるものをツルシキミとして区別する場合もある。

 

ヒトツバタゴ(別名ナンジャモンジャ)はモクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉高木で公園に植えられていたもの。自生樹木は対馬、長野、岐阜、愛知等にあるとのこと。4月下旬から咲く。

 

アオキはミズキ科アオキ属の常緑低木の雌雄異株で高尾山に多いが、赤い実がなるためか庭木にも多く植えられている。3月下旬頃から咲く。花は小さく地味ながら綺麗な花です。

 

グミ科グミ属の1種。グミで春4~5月に花が咲くのはアキグミ、マルバアキグミ、ナツグミ、トウグミ、ダイオウグミ等があるが私には区別できません。いずれも夏から秋にかけて実が赤く熟す。 

 

ユリノキはモクレン科ユリノキ属の落葉高木。街路樹に植えられていた北アメリカ原産の木で自然木ではありませんが、花がチューリップに似て面白いので掲載しました。5~6月に咲きます。

   

ミズキはミズキ科・属の落葉高木で早春に枝を切ると水分が出るのでこの名が付いた。この材は古来さまざまに使用されている。花は5~6月に咲く。

 

ヤマグワはクワ科・属の落葉小高木。雌雄異株で雄花は短い穂状になって4月頃咲く。果実は甘みがあって食べられる。クワはヤマグワを蚕の餌用に改良したもの。

 

コブシはモクレン科・属の落葉高木で3~4月に白い花を付け枯れた林の中でよく目立つ。蕾や果実が拳に似ているため名付けられたとのこと。果実は5~10cmの大きさで割れると赤い種子が出てくる。。ハクモクレン、タムシバとよく似ているがコブシは花のすぐ下に小さな葉が1枚付くのでタムシバと区別できる。

 

フジはマメ科フジ属のつる性植物で、ノダフジ(野田藤)ともいわれるがご存知の通り4~5月に咲き、シロフジもある。

 

イイギリはイイギリ科・属の雌雄異株の落葉高木。名はこの葉でご飯を包んだことによる。この株は雄株で黄色い雌蕊が目立つ。花期は4~6月で秋には多くの赤い実が目立つ。

 

イチョウはイチョウ科・属の落葉高木で有毒植物。よく御存じの樹木だが花はあまり知られていない。花期は4~5月、新芽が出た後に雄花、雌花とも咲く。雌花は丸坊主の面白い形をしている。

 

カシワは山地に生えるブナ科コナラ属の落葉高木。昔から食べ物を盛るのに使用されたし、柏餅を包む葉として知られる。雌花は新枝の葉の付け根に付くが小さくて目立たないのと高所にあるため撮影しにくい。

 

オニグルミは川沿いに見られる雌雄同株のクルミ科・属の落葉高木。雌株は少ないが赤い花を付けた姿は意外に綺麗。

 

ヒメグルミはクルミ科・属の落葉高木で雌雄同株、雌雄異花。オニグルミとの区別が難しい。

 

イボタノキは山野に普通にあるモクセイ科イボタノキ属の落葉低木で花期は5~6月。秋に紫黒色の果実を付ける。

 

ヒマラヤトキワサンザシ(ピラカンサ)はヒマラヤ原産のバラ科トキワサンザシ属の常緑低木で花も実も綺麗なので庭などによく植えられる。秋には赤い実をびっしりつける。

◎ 樹木に咲く春の花(その2):クスノキ(楠木)、ハリエンジュ(針槐、ニセアカシア)、サンショウ(山椒)、ニワトコ(接骨木、庭常)、ヒサカキ(木偏に令)、モチノキ(黐の木)、ヤマモモ(山桃)、マユミ(真弓)、ツリバナ(吊花)、カマツカ(鎌柄)、コウゾ(楮)、ヒメコウゾ(姫楮)、アオハダ(青膚)

クスノキは暖地に分布するクスノキ科・属の常緑高木で花期は5~6月。公園や神社などによく植えられ、樟脳を含むため枝などを折ると特有のにおいがする。

果実は10~11月に黒く熟し多くの鳥の餌となる。葉はアオスジアゲハ、クスサンの食草。

 

ハリエンジュ(ニセアカシア)は北アメリカ原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木で街路樹や砂防用として植えられることが多い。花期は5~6月で白い蝶形花が房状に集まってつく。

 

サンショウは山地に生えるミカン科サンショウ属の落葉低木で雌雄異株。葉は互生(一見対生に見える)だが刺が対生。花期は4~5月で果実は9~10月頃赤く熟す。よく似たイヌザンショウの刺は互生。

 

ニワトコはスイカズラ科ニワトコ属の落葉低木。明るい山地に生え花期は4~5月で淡横白色の小さな花が固まって沢山つける。果実は6~7月に赤く熟す。

 

ヒサカキはツバキ科ヒサカキ属の常緑小高木。雌雄異株で低山に生え花期は3~4月で黄白色の壺型の花を沢山つける。果実は10~12月に黒紫色に熟す。

 

モチノキは山地に生えるモチノキ科・属の常緑高木で雌雄異株。花期は4~5月で多数の花を固まって付ける。果実は冬に赤く熟す

 

ヤマモモは当地では公園、街路樹、庭などに植栽されているヤマモモ科・属の常緑高木で雌雄異株。花期は4~5月で果実は7月頃赤く熟す。

 

マユミはニシキギ科ニシキギ属の落葉低・高木。花期は5~6月で雌雄別株。花は淡緑色で

果実は熟すと四つに割れ種子が顔を出す。

 

ツリバナはニシキギ科ニシキギ属の小低木で花期は5~6月。花は葉の付け根から長い柄を伸ばし淡緑色または淡紫色の花を付ける。果実は直径1cmぐらいの球形で赤く熟すと5つに割れ5個の種赤色の種子が顔を出す。

 

カマツカはバラ科カマツカ属の落葉低木~小高木。花期は4~5月で木材が固く強いので鎌の柄に使われたところから名付けられた。別名ウシコロシ(牛殺し)という。綺麗なオレンジ色に紅葉し果実はキジ、メジロ、ツグミなどが好む。

 

コウゾはクワ科コウゾ属の落葉低木でヒメコウゾとカジノキの雑種。花期は4~5月、雌雄異株で和紙の原料として使用される。

 

ヒメコウゾはクワ科コウゾ属の落葉低木で雌雄同株で花期は4~5月。コウゾとは見分けがつき難い。

 

アオハダはモチノキ科モチノキ属の落葉高木で樹皮が薄く剥がれると緑色の内皮が見えるため名付けられた。花期は5~6月で花は目立たないが秋になると赤い果実が良く目立つ。

 

◎ キイチゴの仲間:モミジイチゴ(紅葉苺)、ニガイチゴ(苦苺)、クサイチゴ(草苺)

バラ科キイチゴ属の落葉低木

  

モミジイチゴはキイチゴの代表格で、陽当りの良い林縁で3月下旬から4月下旬に5弁の白い花を下向きに咲かせる。花の形がモミジの葉に似ていることから名付けられた。オレンジ色の果実は6~7月に熟しこの仲間では一番おいしい。

 

ニガイチゴは4月下旬~5月下旬に白い花を上向きに付ける。果実は6~7月頃付けるが、名前に似合わず結構おいしい。

 

クサイチゴは草という名が付いていおり背が低いため草かと思うが、バラ科キイチゴ属のキイチゴの仲間です。4月~5月に咲き葉は1対から2対の奇数小葉からなり、5月下旬頃赤く丸い実を付ける。

 

夏のキイチゴ属としてナワシロイチゴとエビガライチゴ等があります。 

◎セントウソウ(仙洞草)、ヤブニンジン(薮人参)、ハナウド(花独活)

セントウソウはセリ科セントウゾウ属の多年草。3月下旬から4月下旬にかけて山麓の林縁等で小さな白い花を沢山つけて咲く。名前の謂れは不明です。

 

ヤブニンジンは山野の日影などに生えるセリ科ニンジン属の多年草。葉がニンジンに似ているため名付けられた。果実は2cmぐらいの棍棒状になり、花期は4~5月で花の高さは30~60cmになる。

 

ハナウドは山麓の川沿いなど湿ったところに咲くセリ科ハナウド属の多年草。夏の花シシウドによく似る(夏の花ご参照)が、外側の花弁が大きく花弁の先が2裂する。花期は5~6月で高さは2mぐらいにもなる。

◎センボンヤリ(千本槍)

センボンヤリはキク科センボンヤリ属の多年草で、春4月中旬から5月下旬に日当たりの良い山地の道端などにタンポポに似た白い花を咲かせ、秋には蕾のままで自家受粉する閉鎖花を多く付ける。秋の閉鎖花が多くの槍の穂が千本も(多く)あるように見えるため名付けられた。閉鎖花の蕾から種子が散るまでの様子を添付しました。

◎カテンソウ(花点草)

カテンソウはイラクサ科カテンソウ属の多年草で木陰などに群生して生え、4~5月頃雄花が咲く。雄花は3枚目の状態から花粉を飛ばすと4枚目のように腕を伸ばしたような状況になる。 雌花は最後の写真のように葉の付け根に付く。

◎ ヒメウズ(姫烏頭)、トウゴクサバノオ(東国鯖の尾)

ヒメウズはキンポウゲ科ヒメウズ属の多年草で、3~5月に小さな白い花を付ける。山麓の道端などに咲き、葉がトリカブト(烏頭のこと)に似ているため名付けられた。

 

トウゴクサバノオはキンポウゲ科シロカネソウ属の多年草で、4月上旬から5月上旬に沢沿いの道端などに小さな花を咲かせる。花の中の黄色の部分が花弁で果実が鯖の尾に見えるため名付けられた。

◎マルバコンロンソウ(丸葉崑崙草)、ヒロバコンロンソウ(広葉崑崙草)、コンロンソウ(崑崙草)

共にアブラナ科タネツケバナ属の花

 

マルバコンロンソウは山麓渓流沿いの道端などに4月上旬から5月中旬頃白い十字花を咲かせる2年草。丸い小葉からなる羽状複葉を成し、白い花を中国の崑崙山の雪化粧に見立てたもの。

 

ヒロバコンロンソウは沢沿いの湿地に生える多年草。花期は4~5月でマルバコンロンソウと同じく白い十字花を咲かせるがマルバコンロンソウより大分大きく群生するので目立つ。花序はやや疎らに付け、葉はコンロンソウより丸い羽状複葉で先は鈍形。

 

コンロンソウは沢沿いの湿地に生える多年草。花期は4~5月で白い十字花を咲かせるが花序は比較的密にボール状に着け、葉は先が尖る。マルバコンロンソウより群生する。

◎クサノオウ(草の黄、瘡の王)

クサノオウはケシ科クサノオウ属の2年草。4月~7月に道端や林縁で花を付ける。茎を切ると黄色い汁が出るため「草の黄」、また皮膚病の薬となるため「瘡の王」と名付けられた。

◎ アメリカフウロ(亜米利加風露)

アメリカフウロは北米原産の帰化植物で、ハクサンフウロやゲンノショウコ等と同じフウロソウ科・属の2年草。道端や荒地などで5~6月に咲くが、こちらは雑草扱いにされている。

◎ ヒメリュウキンカ(姫立金花)、リュウキンカ(立金花)、コウホネ(河骨) 

ヒメリュウキンカ(キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草)はリュウキンカ(キンポウゲ科リュウキンカ属の多年草)とよく似た花で園芸用に導入され野生化したものです。ヒメは1花、リュウキンカは2花と花の付き方が違い、萼(花弁に見える)の数、萼の形など違いがあるようですが難しいですね。またリュウキンカは水辺に生育しますがヒメのほうは陸地でも大丈夫です。ヒメリュウキンカの花期は3月から5月頃。リュウキンカの花期は5~7月。

 

コウホネは5~9月に花を付け池や川に生える。公園の池などにもよく植えられる。白い根茎が骨に見立てられたもの。 

◎ ケキツネノボタン(毛狐の牡丹)、キツネノボタン(狐の牡丹)、ウマノアシガタ(馬の脚形) 

共にキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草。

 

ケキツネノボタンは湿地のようなところに生え、名前の通り葉や茎に毛が生えており全草に毒がある。花期は3~7月と長い。

 

よく似た花にキツネノボタンがあるが、果実の先が鉤のように曲がっているので見分けられる。

 

ウマノアシガタは陽当りの良い所に生え萼片は普通5枚だが八重咲もある 名前は根生葉を馬の足形に見立てたとのことだが、鳥の足形を読み違えたものらしい。この花は京王電鉄の盛り土の土手に生えていました。

◎ ヒメニラ(姫韮)

山野に生えるユリ科ネギ属の多年草で4~5月に小さな小さなチューリップのような白い花を付ける。あまりに小さくて見つけるのや撮影に苦労する。

◎ハシリドコロ(走野老)

ハシリドコロはナス科ハシリドコロ属の多年草。葉が綺麗な緑色をしているため山菜と間違えてこれを食すると走り出すという毒草として有名。4月上旬から5月中旬に沢沿いの林縁等に群生する。

◎ セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)

セリバヒエンソウはキンポウゲ科ヒエンソウ属の1年草。中国原産の外来種で明治時代に渡来し東京近辺に多いらしい。花は4~5月頃咲く。

◎ ウツギと名が付く花:ウツギ(空木)、タニウツギ(谷空木)、マルバウツギ(丸葉空木)、ガクウツギ(額空木)、コゴメウツギ(小米空木)、ツクバネウツギ(衝羽根空木)、オオツクバネウツギ(大衝羽根空木)、ハコネウツギ(箱根空木)、ミツバウツギ(三葉空木)、バイカウツギ(梅花空木)

 

ウツギと名が付いてもいろいろな科属に属し、その仲間は種類が多く見分けが難しい。

 

ウツギはユキノシタ科ウツギ属の落葉低木で枝を切ると中空。葉は2枚の小葉が対生する。よく似たミツバウツギはミツバウツギ科ミツバウツギ属で葉が3枚。アオバセセリ等の蝶がよく吸蜜する。花期は5~7月。

  

タニウツギはスイカズラ科タニウツギ属の落葉低木。葉は対生し花は普通ピンクだがシロバナもある。花期は5~7月。

 

マルバウツギはユキノシタ科ウツギ属の落葉低木。ウツギより葉が丸いのでこう呼ばれる。花期は5月。

  

 ガクウツギはガクアジサイと間違いそうだ。ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木で小さな黄色い花が両性花、大きい白い花が装飾花の萼が3枚ある。花期は5~6月。

 

コゴメウツギはバラ科コゴメウツギ属の落葉低木。小さな米が沢山付いたような花。花期は5~6月。

 

ツクバネウツギはスイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木。花は内部に黄赤色の斑紋があり、5枚の衝羽根のような萼があるのが特徴。花期は5~6月。

 

オオツクバネウツギは同じくスイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木。花期は4~5月で花はツクバネウツギとよく似ているが、ツクバネウツギより大きく、額のうち1枚が小さいので見分けられる。 

 

ハコネウツギは箱根と名が付くが箱根には自生していない。花期は5~6月で花は咲き始めは白色だがやがて赤く変色する。従って白赤2色の花のようになる。スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木。よく似た花にニシキウツギ(二色空木)がありますが花の形から、また葉の裏面が無毛であるためハコネウツギかと思います。

 

ミツバウツギは山地に生えるミツバウツギ科ミツバウツギ属の落葉低木で、葉は小葉を3枚付ける複葉。花期は5~6月でウツギに似た白い花を付ける。

 

バイカウツギはユキノシタ科バイカウツギ属の落葉低木で山地の林内や林縁に生え花の感じが梅の花に似ているため名付けられた。花期は6月で白いウツギの花の中で最も大きく見栄えがする。この写真は人家に植えられたものです。自生のものは捜索中。

◎ スイカズラ(吸葛)、ヤブデマリ(藪手毬)、ガマズミ(莢蒾)、オトコヨウゾメ(男ようぞめ(漢字不明))

スイカズラはスイカズラ科スイカズラ属の山野によく見られるつる性の低木。蜜が多く吸うと甘いので名付けられたという。5~6月に香りがよい花が咲くが、花は最初白いがやがて黄色に変わる。また花は2個ずつ並んで咲くのもおもしろい。果実は液果で2個ずつ並んで付き秋に黒く熟す。

 

ヤブデマリはスイカズラ科ガマズミ属の落葉小高木で5~6月にアジサイに似た両性花の小さな花を集めて咲かせる。その周りに白い装飾花を付け、果実ははじめ赤く9~10月に黒く熟す。

 

ガマズミはスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木。花期は5~6月で果実は9~10月に赤くなり野鳥もよく食べる。

 

オトコヨウゾメはスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木。花期は5~6月で核果は10月頃赤く熟す。果実が食べられないので名前に男が付いたというがなぜ男なのか不明。

 

◎ オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)、タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)、フラサバソウ(フラサバ草)、ご参考(三鷹市産):イヌノフグリ(犬の陰嚢)、コゴメイヌノフグリ(小米犬の陰嚢)、クワガタソウ(鍬形草)、ムシクサ(虫草)

オオイヌノフグリはゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草でヨーロッパ原産の帰化植物。早春?冬から?いち早く咲き始める代表的な野の花。小さい花だが、一面に咲いているのを見たり、よく見ると美しい花です。

名前の謂れとなったのはその果実。似ているかどうかは別にしても可愛そうな名前を付けられたものです。

 

タチイヌノフグリもゴマゴハグサ科クワガタソウ属の越年草でヨーロッパ原産の帰化植物。花期は4~6月、花はオオイヌノフグリより半分以下の大きさで目立たず、色の変化も比較的多い。我家の庭にも雑草として咲いていました。

 

フラサバソウはゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草でヨーロッパ原産の帰化植物。花期は4~5月で畑や道端などに生える。淡青紫色の花を一個つけるが直径3~4mmと小さく目立たないので見逃しがち。名前は植物学者のフランチェットとサバチェルの二人の名前から付けられた。

 

イヌノフグリはゴマノハグサ科クワガタソウ属の多年草。近年帰化植物のオオイヌノフグリに駆逐される等で急激に減少しており、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。この写真は三鷹市の野川公園自然観察園で植栽されているものです。参考に掲載。

 

コゴメイヌノフグリはゴマノハグサ科クワガタソウ属の多年草で花期は3~4月。ヨーロッパ原産で小石川植物園が種子交換で1961年に入手したもので各地に野生化している。花が小さく真っ白なことから小米の名がついた。

 

クワガタソウはゴマノハグサ科クワガタソウ属の多年草。沢沿いの湿った場所に群生し、5~6月に淡江紫色の花をつける。その果実の萼の形が兜の鍬形に似ているため名付けられた。

 

ムシクサはゴマノハグサ科クワガタソウ属の1年草で水田や川の側などに生える。花期は4~5月で花はごく小さく2mmぐらいしかない水田雑草です。花の色は違うがタチイヌノフグリに似ており果実も似ている。

◎ アマナ(甘菜)、キバナノアマナ(黄花の甘菜)、タイリンオオアマナ(大輪大甘菜)

アマナはユリ科アマナ属の多年草。地中の根茎が甘くて食用になる。草地で3~5月に咲く。

 

キバナノアマナはユリ科キバナノアマナ属の多年草。山麓の日当たりの良い草原などに3月下旬~4月中旬に咲く。花はアマナより小さく多くの花を付ける。

 

タイリンオオアマナはヨーロッパ原産のユリ科オオアマナ属の多年草で花期は4~6月。この花は小仏川沿いの駒木野公園に咲いていました。

◎ 春の野の花:キランソウ(金瘡小草)、タンポポ(蒲公英)、スズメノヤリ(雀槍)、スギナ((杉菜)ツクシ(土筆))、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)、ホトケノザ(仏の座)、ナズナ(薺)、カキドオシ(垣通し)、ニワゼキショウ(庭石菖)、レンゲソウ(蓮華草)、フキ(蕗)、ニオイカントウ(匂款冬)、タネツケバナ(種漬花)、ノボロギク(野襤褸菊)、イヌガラシ(犬芥子)、ハハコグサ(母子草)、カキネガラシ(垣根芥子)、ジシバリ(地縛り)(別名:イワニガナ(岩苦菜))、コメツブツメクサ(米粒詰草)

春の野、丘陵の草原は楽しい。小さいが種々の花が咲き乱れ目を楽しませてくれます。

 

キランソウはシソ科キランソウ属の多年草。地面にへばりついているので「地獄の釜の蓋」とも呼ばれる。花期は3~5月。 

  

タンポポはキク科タンポポ属の多年草。関西地方に多いというシロバナタンポポ、関東地方に多いカントウタンポポ、ヨーロッパ原産の帰化植物であるセイヨウタンポポがあります。セイヨウタンポポは総苞片が反り返るので分かる。普通花期は3~5月であるがセイヨウタンポポ花期が長い。

 

スズメノヤリはイグサ科スズメノヤリ属の多年草。花穂を大名行列の毛槍に見立てたもの。花期は3~5月。

 

ツクシはトクサ科トクサ属のシダ植物でその地上茎はツクシと呼ばれる胞子茎とスギナとよばれる栄養茎がある。

 

ヒメオドリコソウはヨーロッパ原産のシソ科オドリコソウ属の2年草で東京で気づかれたのが最初。花期は4~5月。

 

ホトケノザはシソ科オドリコソウ属の2年草で、葉が茎を丸く取り囲んでいるのを仏が座る蓮座に見立てた。花期は3~6月。

 

ナズナは一名ペンペングサともいわれるアブラナ科ナズナ属の2年草でその種子の形を三味線の撥に見立てたもの。花期は3~6月。

 

カキドオシはシソ科カキドオシ属の多年草で、垣根を通り抜けてどこまでも伸びる(繁殖力が強い)ことから名付けられた。薬草としても利用され癇取草とも呼ばれる。花期は4~5月。

 

ニワゼキショウは北アメリカ原産のアヤメ科ニワゼキショウ属の多年草。花期は5~6月。

 

レンゲソウは中国原産のマメ科ゲンゲ属の2年草で緑肥として栽培されるが野生化したものも多い。花期は4~6月。

 

フキはキク科フキ属の多年草で雌雄異株。雄花は黄色で5枚の花弁あり、雌花は白色で糸状。雄株は花が咲くとすぐ消えるが雌株は薹が立って綿毛(種子)を飛ばす。山菜として食べるフキノトウはフキの花芽のこと。花期は3~5月。

 

ニオイカントウはキク科フキ属の多年草で、地中海原産の外来種。カントウ(款冬)はフキのことで匂いのするフキということ。花期は3~5月。この花は裏高尾日影の人家に植栽されていました。

 

タネツケバナはアブラナ科タネツケバナ属の2年草で稲の種もみを水につける頃咲くからという。花期は3~5月。

 

ノボロギクはキク科キオン属の1~2年草でヨーロッパ原産の帰化植物で道端や畑に1年中咲いている。

 

イヌガラシはアブラナ科イヌガラシ属の多年草で、畑や道端に多く、ナズナを黄色くしたような花。4~9月に咲き食べられないので犬と付いたらしい。

 

ハハコグサはキク科ハハコグサ属の1年草~多年草。春の七草の一つ「御行」のこと。4~6月に畑など草地で小さな筒状花の集まった頭花を付ける。

 

カキネガラシはアブラナ科キバナハタザオ属の1~2年草。ヨーロッパ原産の帰化植物で日当たりの良い道端や畑などで見られる。花期は4~6月で花の付く茎が横に広がり伸びる様が面白い。

 

ジシバリは別名イワニガナ(岩苦菜)ともいい、キク科ノニガナ属の多年草。花期は4~7月でジシバリの名前の通り地面一面に生える雑草です。

 

コメツブツメクサはヨーロッパ、西アジア原産の帰化植物で豆科ジャコウソウ属の1年草。花期は5~9月で地面に這いつくばるようにして群生する。

◎キジムシロ(雉筵)、ミツバツチグリ(三葉土栗)、オヘビイチゴ(雄蛇苺)

共にバラ科キジムシロ属の多年草。

 

キジムシロは放射状に延びる姿をキジの座る筵に見立てたもの。花期は4~5月でミツバツチグリによく似るがこちらの葉は奇数羽状複葉で見分けられる。

 

ミツバツチグリはツチグリに似て葉に小葉が3枚あるのでこの名が付いた。山野の日当たりの良いところに4~5月に咲く。

 

オヘビイチゴはヘビイチゴより大きいという意味だがヘビイチゴ属ではなくキジムシロ属。花期は5~6月で田畑のあぜ道に多い。葉は根元は5枚、上に行くと1~3枚の掌状。

◎ ヘビイチゴ(蛇苺)、ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)

共にバラ科ヘビイチゴ属の多年草。

 

ヘビイチゴは蛇がいそうな所に生えるところから名付けられた。明るい道端や田んぼの畦などに生え、花期は4~5月。葉は明るい緑色の円形に近く先がとがらない。副萼片はヤブヘビイチゴほど目立たない。果実の果床は光沢がなくピンク色。

 

ヤブヘビイチゴは藪や林の下など湿り気のある日影に生え、花期は4~6月。葉は暗緑色の楕円形で先が尖り気味。副萼片が萼片より大きくよく目立つ。果実は果床に光沢がある。

◎ ウワバミソウ(蟒蛇草、別名:ミズナ

ウワバミソウはイラクサ科ウワバミソウ属の多年草。山菜を知る人にはミズナとしてのほうがよく知られている。蟒蛇が棲みそうな湿った沢沿いによく見られることから名付けられた。花期は4月下旬から9月頃で、小さな塊のような黄白色の面白い形の花が付く。

◎ 雑木林や林縁に咲く花:イカリソウ(錨草)、チゴユリ(稚児百合)、ツクバキンモンソウ(筑波金紋草)、トウダイグサ(灯台草)、ナツトウダイ(夏燈台)、ナルコユリ(鳴子百合)、アマドコロ(甘野老)、ホウチャクソウ(宝鐸草) 、ユキザサ(雪笹)、ワニグチソウ(鰐口草)

イカリソウはメギ科イカリソウ属の多年草で花の形が錨に似ている。4月中旬頃から咲きピンク色以外に白花もある。

 

チゴユリはユリ科チゴユリ属の多年草で、明るい林の下で下向きに白い小さい花を咲かせる。4月上旬頃から咲く。

 

ツクバキンモンソウはシソ科キランソウ属の多年草で4月中旬頃から咲き始めます。この花にそっくりのニシキゴロモが日本海側に分布するのに対し、この花は太平洋側に分布する。葉の葉脈の紫色が目立つ。

 

トウダイグサはトウダイグサ科トウダイグサ属の2年草で形が昔の燈台に似ていることから名付けられた。平地の道端などに生育し3~5月に小さな壺型の花を付ける。 

 

ナツトウダイはトウダイグサ科・属の多年草。夏と名が付いているが4月上旬頃から5月下旬にかけて咲く。花の形が面白い。先が赤く見えるのが腺体で三日月形をしているのが特徴。春に咲く仲間の同じ仲間の花でトウダイグサがあるがこちらは腺体が楕円形。参考に夏に咲く仲間で腺体が楕円形のタカトウダイを掲載しておきます。

 

ナルコユリはユリ科アマドコロ属の多年草で、花が連なってぶら下がる姿が鳴子に似ているため名付けられた。5月上旬から咲く。アマドコロによく似ているが、茎が丸くて稜がなく触るとツルツルである。アマドコロは茎に稜がある。

 

アマドコロはキジカクシ科アマドコロ属の多年草で山野の草地に生える。花期は4~5月でナルコユリによく似るが、茎に稜があり触るとざらざらする。ミヤマナルコユリ(捜索中)にもよく似るが葉に柄が付かない。ミヤマナルコユリは葉に短いが柄が付く。

 

ホウチャクソウはユリ科チゴユリ属の多年草で、その花を寺院などの軒先に下がる飾りの宝鐸に見立てたもの。4月下旬頃から咲く。

  

ユキザサはユリ科ユキザサ属の多年草。雪の結晶に似た白い花、ササの葉に似た葉の姿がその名の由来。葉や茎は食用にもなり、球形の赤い実がなる。

 

 ワニグチソウはユリ科アマドコロ属の多年草で、普通2個の花を抱く(包む)2枚の包葉の形を神社に下げる鰐口に見立てて名付けられた。花期は5月下旬で林下の暗い場所に咲く。

◎ タツナミソウ(立浪草)、オカタツナミソウ(丘立浪草)、コバノタツナミ(小葉の立浪)、ヤマタツナミソウ(山立浪草)、ミヤマナミキ(深山浪来)

シソ科タツナミソウ属の多年草。

 

タツナミソウは丘陵の林縁や草地に生え、葉は広卵形で咲きは丸みを帯び、花は全体が紫色。花期は5~6月。

 

オカタツナミソウは林縁や草地に咲き、その花は立ち上がる波のような形をしており、先端のみ青色で下方は白い。5月中旬ごろから咲く。葉は卵形または三角状卵形で先がやや尖る。

 

コバノタツナミは名前の通り葉を始めタツナミソウの仲間では小さめで、葉と茎に短毛がビロード状に生える。花期は3~6月。白花もある。

 

ヤマタツナミソウは木陰などに生え、花期は5~6月。花は疎らにつき下から上に咲き上がるのが特徴。この写真では下方はすでに果実になっている。葉は卵状三角形で先が尖る。

 

ミヤマナミキは茎の高さが5~15cmで花も長さ1cm以下とずっと小さいですが、タツナミソウの仲間です。花期は7~8月で夏の花ですが比較の関係上春の花に入れました。

◎ 沢沿いに咲く花:オウギカズラ(扇葛)、オドリコソウ(踊り子草)、キバナオドリコソウ(黄花踊子草)、カントウミヤマカタバミ(関東深山方波見)、ツルカノコソウ(蔓鹿の子草)、ラショウモンカズラ(羅生門葛)

オウギカズラはシソ科キランソウ属の多年草。葉が扇の形に似ているので名付けられた。沢沿いの山陰に4月下旬から5月下旬にかけて群がって咲く。

 

オドリコソウはシソ科オドリコソウ属の多年草。4月下旬から沢沿いの林縁で咲く。花の形が笠を被って踊る人に似ているという。キバナオドリコソウは園芸種が野生化しているようで、日影沢などで見られます。

 

カントウミヤマカタバミはカタバミ科・属の多年草。3月下旬から沢筋に咲いているのが多くみられる。

 

ツルカノコソウはオミナエシ科カノコソウ属の多年草。沢沿いのやや湿ったところに小さい白い花を沢山つけて咲く。蕾の薄いピンク色が可愛い。

  

ラショウモンカズラはシソ科ラショウモンカズラ属の多年草。花の形を渡辺綱が羅生門で切り落とした鬼の腕に見立てたもの。沢沿いの明るいところに咲く。

◎ カンスゲ(寒菅)、ヒメカンスゲ(姫寒菅)、ナルコスゲ(鳴子菅)、コカンスゲ(小寒菅)、ミヤマシラスゲ(深山白菅)、スゲの一種

カヤツリグサ科スゲ属の多年草。

  

カンスゲの花期は4月上旬~5月上旬で沢沿いによく咲いている。この仲間の見分けは難しく果実期にルーペで見る必要があるらしい。花穂の先は雄蕊で下の方にあるのが雌蕊(ヒメカンスゲも同じ)。

 

ヒメカンスゲは同じ時期に低地から山地までによく見られる。身体が大きく葉の幅も広い他の菅類と違い、小ぶりで葉も細いため他との見分けがつく。また、苞の鞘に赤褐色の部分がある。

 

ナルコスゲは3~4月に渓流の岩場や岩の上に咲く。その果穂が鳴子のように見えるため名付けられた。

 

コカンスゲは葉の縁の中上部が上向きにざらつき、下部は下向きに強くざらつく。花期は4~5月。

 

ミヤマシラスゲ(深山白菅)は湿地特に山間部の水の湧き出るところに群生する大型のスゲで花期は4月頃。 

◎ ヒトリシズカ(一人静)、フタリシズカ(二人静)、ジュウニヒトエ(十二単)

この3種の花も林やその林縁に咲く花です。

 

ヒトリシズカはセンリョウ科チャラン属の多年草。4枚の葉の中から一本の白い花が出る姿を白拍子の静御前に例えたものですが、普通何本か纏まって咲きます。4月上旬頃から咲きます。

 

フタリシズカはセンリョウ科チャラン属の多年草。これも4枚の葉の中から普通二本の白い花が出るからというのですが、3本以上出る場合が多いようです。5月下旬頃から咲きます。

 

ジュウニヒトエはシソ科キランソウ属の多年草。花が何段にも重なって咲く姿を十二単に例えて名付けられた。4月中旬頃から咲きます。

◎ 絶滅危惧種= フクジュソウ(福寿草)、オキナグサ(翁草)、参考:クマガイソウ(熊谷草)

共に八王子市では見かけにくくなった植物です。

  

フクジュソウはキンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。我が家の近くの公園の雑木林の斜面に咲いていたものですが、ここは自然のカタクリも咲く場所であり、恐らく自然のものと思われます。

  

オキナグサはキンポウゲ科オキナソウ属の多年草で日当たりの良い草地に生える。民家の石垣に咲いていましたが、これは植栽されたものでしょう?

 

この夫々の場所ではフクジュソウが2月頃から、オキナグサは3月下旬から咲き始めています。

 

クマガイソウは山野の杉林などの林下に生えるラン科アツモリソウ属の多年草。優しそうなアツモリソウに対しその敦盛を打ち取った熊谷直実の名を採った。花期は4~5月で高尾にも残っているとのことだが自生場所は不明。この写真は昔高尾で自生していた花を移植したものを撮影した。 

◎ 早春に咲く白い花:アズマイチゲ(東一華)、キクザキイチゲ(菊咲一華)、イチリンソウ(一輪草)、ニリンソウ(二輪草)、ミドリニリンソウ(緑二輪草)(萼が緑色のニリンソウ)、セツブンソウ(節分草)

アズマイチゲはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。沢沿いの明るい林下や林縁に3月下旬から咲き始める。

 

キクザキイチゲはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。アズマイチゲと同じような時期・場所で良く似た花を付けるが、アズマイチゲと違って各小葉が深く切れ込んでいるので区別できます。東京で自生のものは花が白色だが、参考に神奈川県で植栽された青色のものを添付しておきます。

 

イチリンソウはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。4月中旬ころからニリンソウに少し遅れて咲き始める。大きな白い花が一輪咲くのでこの名前が付けられた。

山麓の沢沿いの明るい林下に咲く。

 

ニリンソウはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。イチリンソウとよく似た花だが大きさが大分小さくニリンソウは2~3輪咲くので見分けられる。花弁(萼)の数は5枚が基本だが、6~7枚もある。花弁の色も白が基本だがまれに緑色(ミドリニリンソウ:緑二輪草という)もある。やはり、沢沿いの明るい林下に4月上旬から咲く。高尾ではよく見られる。

 

セツブンソウはキンポウゲ科セツブンソウ属の多年草。その名の通り節分の頃から咲く。我が家の近くの公園の林下に咲いていたが、最近笹を刈るなど手入れされたので増えてきました。可愛い花ですね。

◎ シュンラン(春蘭)、エビネ(海老根)、セッコク(石斛)、カヤラン(榧蘭)、ヨウラクラン(瓔珞蘭)、ツレサギソウ(連鷺草)、ヒメフタバラン(姫二葉蘭)

シュンランはラン科シュンラン属の多年草。明るい林縁等に3月下旬から咲き、緑色の花を付けるが盗掘のためか少なくなっている。

 

エビネはラン科エビネ属の多年草。我家の近くの雑木林の中にかろうじて残っているが、高尾山でははありこちに見られます。

 

セッコクはラン科セッコク属の着生植物。5月中旬頃から、高尾では沢沿いの杉の大木などの高い樹上で咲く着生ラン。人が植えたものでなければ間近で見るのは難しいが、綺麗な花です。最後の3枚はケーブル清滝駅構内に植生されたものです。

 

カヤランはラン科カヤラン属の多年草でセッコクと同じく沢沿いの杉の大木等の樹上で咲く着生植物。セッコクより早く4~5月に咲き1日で萎れてしまう。葉が榧の葉に似ており花はキンランに似ている。最初の2枚以外は植えられたもの?を撮影。

 

ヨウラクランはラン科ヨウラクラン属の多年草。杉などの樹上に着生する蘭で花期は4~6月。小さな花を房状に多数付ける。この写真の最初の4枚は自生ではなく人が付けたものらしい。最後のは自生です。

 

ツレサギソウはラン科ツレサギソウ属の多年草。低山の草地に見られ花期は5~6月。長さ3~4cmの長い距があるのが特徴で何か長い尾っぽを付けた昆虫のように見える。

 

ヒメフタバランはラン科フタバラン属の多年草で山地の林内に生える。花期は3~5月で別名ムラサキフタバランといわれるように花の色は紫がかっている。葉、花とも小さく高さは5~30㎝ぐらいで2~6個の花をまばらにつける。

◎ コチャルメラソウ(小哨吶草)、エンレイソウ(延齢草)、シロバナエンレイソウ(白花延齢草)、ショウジョウバカマ(猩々袴)

コチャルメラソウはユキノシタ科チャルメラソウ属の多年草。小さな花で沢沿いに3月下旬頃から咲く。実の形がチャルメラの形に似ているため名付けられた。

 

エンレイソウはユリ科エンレイソウ属の多年草。別名ミヤマエンレイソウといい4月上旬頃から沢沿いに咲く。花は萼片が3枚あるが花弁がない。萼片の色は緑色から紫褐色まで変化が多く、高尾山近辺では緑色が多い。緑色の萼片3枚の上に白い花弁が3枚ある。

 

シロバナエンレイソウは白い花のエンレイソウの意で別名ミヤマエンレイソウという。エンレイソウより高地に育ち花が咲くまで10年かかり15年の寿命があるといわれる。

 

ショウジョウバカマはユリ科ショウジョウバカマ属の多年草で林下のやや湿ったところに淡紅色から濃紅色まで変化の多い花を咲かせる。別名カンザシバナ(簪花)といわれ花期は~5月。

◎ ヤマルリソウ(山瑠璃草)、ホタルカズラ(蛍葛)、キュウリグサ(胡瓜草)、ハナイバナ(葉内花)

ヤマルリソウはムラサキ科ルリソウ属の多年草。沢沿いの斜面に4月上旬から5月上旬にかけて咲く。花の色は原則瑠璃色ですが白色のもある。花はハナイバナに似ているがこちらは1㎝ぐらいと大きく花の近くに葉がない。

 

ホタルカズラはムラサキ科ムラサキ属の多年草。陽当りの良い林縁等でヤマルリソウより少し遅れて、4月中旬から5月中旬にかけて咲く。

 

キュウリグサはムラサキ科キュウリグサ属の2年草。3~5月に野原や道端で淡青紫色の小さな花を付ける。葉をもむとキュウリに似た匂いがすることからの名前。花弁の色が淡青紫色なのに対し花芯が黄色いのが特徴。

 

ハナイバナはムラサキ科ハナイバナ属の1~多年草で道端や畑で普通にみられる。花期は3~12月と長く花の大きさは5㎜ぐらいと小さい。葉と葉の間に花がつくため名付けられた。花はヤマルリソウによく似るがこちらはずっと小さい。

◎ 春に咲くリンドウ:フデリンドウ(筆竜胆)、コケリンドウ(苔竜胆)

リンドウといえば秋の花と思いがちだが春にも何種類かの竜胆が咲く。

一般的に春のリンドウは薄い青色の小さい花で可愛らしい。

 

フデリンドウはリンドウ科リンドウ属の2年草で、花は晴れると開くが、曇りや雨の日は花は閉じて筆の穂先のような蕾状態になる。蕾が筆の穂先に似ているため名付けられた。4月中頃から咲く。フデリンドウにはロゼット状の根生葉はない。

 

コケリンドウは苔のように小さいため名付けられた。根元にロゼット状の根生葉がつき茎が枝分かれするのが特徴で3月頃から咲く。芝生地に咲くことが多いようです。絹の道資料館の近くに咲いていました。

 

他にハルリンドウがあるが、これも根元にロゼット状の根生葉があり茎1本に花1個がつく。捜索中。

◎ ハナネコノメ(花猫の目)、ハナネコノメ(紅花){花猫の目(紅花)}、ネコノメソウ(猫の目草)、ヤマネコノメソウ(山猫の目草)、ヨシベヤマネコノメソウ(四蕊山猫の草)、ヨゴレネコノメ(汚れ猫の目)、ツルネコノメソウ(蔓猫の目草)、参考:奥多摩産のコガネネコノメソウ(黄金猫の目草)

ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草。

 

ハナネコノメ。早いところでは3月上旬から咲き始める。白い萼片と赤い雄蕊の葯の赤色とのコントラストが可愛く綺麗で人気者である。沢沿いの水辺の岩の上に咲く。花弁がピンク色の変種がありましたので添付しました。花が咲き終わると白い萼片が緑色に変わり果実ができる。

 

ネコノメソウ。果実が割れて種子が覗くと猫の目に見えるので名付けられたという。葉は対生。

 

ヤマネコノメソウ。ネコノメソウと酷似しているが、葉は互生なので見分けがつく。共に3月下旬から咲き始めるがネコノメソウより少し早く咲く。

 

ヨシベヤマネコノメソウ。ヤマメコノメソウは雄蕊がふつう8個であるが、雄蕊が4個であるものをヨシべヤマネコノメソウという。

 

ヨゴレネコノメ。葉に汚れたような模様があるため名付けられたか?焦げ茶色の葯が目立ちます。これも3月下旬から咲き始める。

 

ツルネコノメソウ。他のネコノメソウと異なり、花後送出枝を四方に伸ばして増える。葉は互生で高尾近辺では少ない。 

 

参考に奥多摩御前山で撮影したコガネネコノメソウを添付しておきます。 

◎ カイコバイモ(甲斐小貝母)

カイコバイモはユリ科バイモ属の多年草。明るい林下に咲くが、小さいのと地味で目立たない花のため落葉に紛れて見つけ難い。

早いものは3月上旬から咲き4月には種子になる。

◎ ユリワサビ(百合山葵)、オランダガラシ(和蘭芥子) 、参考:山梨県小菅村産ワサビ(山葵)

ユリワサビはアブラナ科ワサビ属の多年草。沢沿いの湿ったところに3月中旬頃から咲くワサビを小さくしたような白い花。根茎は少し辛いそうです。

 

オランダガラシはアブラナ科オランダガラシ属の多年草。別名ミズガラシ、若芽はクレソンと呼ばれ食用になる。5~8月山葵に似た白い花を付ける。ヨーロッパ原産の帰化植物。

 

参考に山梨県小菅村で撮影したワサビの花を添付しました。

◎ カタクリ(片栗)

八王子市では高尾山南麓など北向きの山麓部に多く咲く。奥多摩の御前山など高い山にも咲いているのに高尾山上にないのが不思議です。早春の代表的な花ですが、好きなものですから写真の枚数も多くなってしまいました。3月下旬から4月上旬に咲きますが、ギフチョウが吸蜜する写真を撮りたいものです。ギフチョウが多摩丘陵にいた昔なら撮れたでしょうが。ユリ科カタクリ属の多年草。

◎ カラスノエンドウ(烏野豌豆:普通のアカバナ、シロバナ、ピンクバナ)、スズメノエンドウ(雀野豌豆)、 カスマグサ(かす間草)

マメ科エンドウマメ属のつる性の越年草

 

カラスノエンドウは大きく赤い花で葉の根元に1~2個付く。豆の鞘が熟すと黒くなるので名付けられた。早いものは3月頃から咲き始める。果実は垂れることなく、中に豆が10個前後あり、大きく無毛。珍しくシロとピンクの花がありましたので添付しました。

 

スズメノエンドウは小さく白い花が咲き枝先に普通4個付く。4月位から咲く。果実は垂れ下がり毛が多く中に豆が2個ある。

 

両者の中間的な性格の花がカスマグサ。花はピンク地に紫色の筋(文様)が入り枝先に普通2個の花が付く。果実はスズメノエンドウ同様垂れ下がるが無毛で中に豆が4個ある。

◎ 変わった形の花:フタバアオイ(双葉葵)、タマノカンアオイ(多摩の寒葵)、カンアオイ(カントウカンアオイ・関東寒葵)、ランヨウアオイ(乱葉葵)、オオバウマノスズクサ(大葉馬の鈴草)、参考:ウマノスズクサが夏の花(その1)にある。

フタバアオイはウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草。その名の通り2枚の葉をつけその根元に萼が筒状になった丸い花が4月上旬から沢沿いに咲く。この葉は徳川家の家紋や京都の葵祭にも使われる。

 

タマノカンアオイ(多摩の寒葵)はウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草。多摩で発見されたカンアオイの仲間。地味な花は地面の上に乗るように4月中旬頃から咲く。

 

カンアオイ(別名カントウカンアオイ)(関東寒葵)はウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草。秋から冬にかけて咲くので名付けられた。関東地方に分布し独特の花を付ける。萼片は三角形で3枚が横に広がり真ん中に白い輪がある(花は普通焦げ茶色であるが緑色の花もある)。

 

ランヨウアオイは ウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草。花期は3~5月で淡紫褐色または緑褐色の花を葉柄の基部に1個つける。丘陵地から山地のブナ林や落葉樹林の林床に生育する。東京都では南多摩の丘陵地に局所的に絶滅危惧ⅠA類に分類される。

 

オオバウマノスズクサはウマノスズクサ科ウマノスズクサ属のつる性多年草。山地の林に5月上旬頃から咲き、花の実が馬につける鈴に似ているからと。ジャコウアゲハの幼虫の食草として知られる。(参考にジャコウアゲハの孵化と終齢幼虫の写真を添付しました

 

参考:ウマノスズクサは夏の花ですが参考に添付しました。

◎ ムラサキケマン(紫華鬘)、シロヤブケマン(白藪華鬘)、ユキヤブケマン(雪藪華鬘:捜索中)、ミヤマキケマン(深山黄華鬘)、ヤマエンゴサク(山延胡索)、ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)

6種ともケシ科キケマン属の多年草。

 

ムラサキケマンとジロボウエンゴサクは草地に、ミヤマキケマンとヤマエンゴサクは沢沿いに多い。

 

ムラサキケマンはウスバシロチョウの幼虫の食草。華鬘は仏殿の欄間などの装飾具のこと、延胡索は生薬で小さな魁根。

 

シロヤブケマンはムラサキケマンの白花品種で先だけが紫色。ムラサキケマンのことをヤブケマンともいいその白い花ということ。

 

ユキヤブケマンは花の先まで白い品種のもの。(写真は捜索中)

 

ヤマエンゴサクとジロボウエンゴサク。花の下の苞が切れ込んでいるのがヤマエンゴサク、切れ込みのないのがジロボウエンゴサクです。共に3月下旬か4月上旬には咲き始めるがヤマエンゴサクの方がやや早く咲き、ジロボウエンゴサクの方がやや遅れて咲く。

◎ ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)、マムシグサ(蝮草)、ホソバテンナンショウ(細葉天南星)、ウラシマソウ(浦島草)、カラスビシャク(烏柄杓)、ムサシアブミ(武蔵鐙)

サトイモ科の多年草。そのうち仏炎苞(大きな筒型の葉鞘)を持つ天南星の仲間(テンナンショウ属)は結構多く、見分けが難しい。

 

ミミガタテンナンショウはテンナンショウ属で、仏炎苞の口の下方が耳のように大きく張り出している。早いものは3月下旬から、普通4月上旬頃から咲く。

 

マムシグサはテンナンショウ属で、仏炎苞の色は変化が多く淡緑色から紫色まで色々です。緑色のをカントウマムシグサ、紫色で筒状の部分が緑色のをムラサキマムシグサと区別する場合もある。偽茎の模様が蝮に似ることからの名前だが花の姿が蝮の鎌首を持ち上げた姿とすることもある。花はミミガタテンナンショウより遅れて4月下旬頃から咲く。

 

ホソバテンナンショウはテンナンショウ属で、その名の通り葉が細く仏炎苞の中の付属帯が棍棒状ではなく細いのが特徴。花期は4~6月。

 

ウラシマソウはテンナンショウ属で、仏炎苞の中から長いひげ状のものを出すのが特徴。これを浦島太郎の釣り糸に見立てたもの。4月中旬ころから咲く。

 

カラスビシャクはハンゲ属の多年草で、花期は5~8月。仏炎は苞緑色で上に伸びる。花は仏炎苞に包まれて見え難い。野原に雑草として生えるが地中の球茎は半夏と呼ばれ漢方薬に使用される。

 

ムサシアブミはテンナンショウ属の多年草で仏炎苞が馬に乗る時に足をかける鐙に似ているため名付けられた。花期は3~5月で。市内の公園にも自生しています。

◎ ヤマブキソウ(山吹草)、ヤマブキ(山吹)、シロヤマブキ(白山吹)

ヤマブキソウはケシ科ヤマブキソウ属の多年草。カタクリが咲き終わったころ4月下旬頃から林下のやや湿ったところに群生して咲く。

 

ヤマブキとヤマブキソウは似た花だがヤマブキソウは草でヤマブキはバラ科ヤマブキ属の落葉低木。花弁もヤマブキソウは4枚、ヤマブキは5枚です。ヤマブキの花期は4~5月でヤマブキソウと同じ頃咲く。

 

シロヤマブキはバラ科シロヤマブキ属の落葉低木で、日本では岡山県にのみ生えるからこれは自生種ではない。花期は4~5月で花弁は4枚あり黒い果実を付ける。似た花にシロバナヤマブキがあるが、これは園芸種で花弁が5枚ある。

◎シャガ(射干)

シャガはアヤメ科アヤメ属の多年草。林縁や林下で4~5月頃群生して咲く。高尾山では山麓から山上目でいたるところに生えており、根茎を伸ばしてどんどん増えるので土止めになっている。

◎ ヒメハギ(姫萩)

ヒメハギはヒメハギ科・属で常緑の多年草。日当たりの良い道端や草地で4~5月に小さな花を付ける背の低い草。花は筒状で先に白い房のような付属体がつく可愛い面白い花。花が終わりかけはピンク色から緑色ないし白い花になる。

◎ キンラン(金襴)、ギンラン(銀蘭)、クゲヌマラン(鵠沼蘭)、ヤビツギンラン(矢櫃銀蘭)、ササバギンラン(笹葉銀蘭)、ユウシュンラン(祐舜蘭)

ラン科キンラン属の多年草。

 ゴールデンウィークの頃、キンランは明るい雑木林で咲き始め、やや遅れてギンランが咲き始める。キンランは花が開くが、ギンランは花が半開きのまま終わることが多い。毎年雑木林の散策でこの花を見つけるのが楽しみですが、よく掘り取られることがあり残念です。よく似たギンラン等の見分けは次の通りです。

 

ギンラン:距が長く突き出る。花は横向きに咲きあまり開かない。葉状の苞が短い

クゲヌマラン:ギンランの変種で距が非常に短いかなく、距の部分は色がわずかに黄ばむ。

       花はやや上向きに咲き半開きの花が多い。葉がギンランに比べ細い。

ヤビツギンラン:ギンランの変種で距が退化しており、ラン科の花の特徴は花被片が左右相称で

        あるのに対し、先祖返りして花被片が全て同形の放射相称になっている。

        花はほとんど開かず上向き。葉はギンランと同じ。

ササバギンラン:花のすぐ下につく苞が長く花より高く伸びる。ギンランは葉状の苞が短い。

        距は短く突き出る。

ユウシュンラン:距が非常に大きく、葉が退化して小さくなっているが、花柄の基部には苞葉が

        ある。ギンランとは独立種と考えられる。

◎ ヤマシャクヤク(山芍薬)、ベニバナヤマシャクヤク(紅花山芍薬)

ヤマシャクヤクはボタン科・属の多年草。山林の下で4月下旬から咲く。純白の花弁と黄色い雄蕊そして赤色の雌蕊の配色が清楚で美しい。短命な花で3~4日で散ってしまいます。

 

ベニバナヤマシャクヤクはヤマシャクヤクの赤花種で絶滅危惧ⅠB類に指定されている貴重な種。

ヤマシャクヤク同様花は短命です。

◎ ハナイカダ(花筏)

ハナイカダはミズキ科ハナイカダ属の落葉低木で雌雄異株。雌花は葉の中央に花を一つ付けるが、雄花は複数の花を付ける。この姿:花を乗せた筏に例えて名付けられた。風流な名前ですね。4月下旬ころから花を付け、6月下旬ころには緑色の実が結実し、夏の終わりころには濃い紫色に熟す。

◎ ニガナ(苦菜)、ハナニガナ(花苦菜)

キク科ニガナ属の多年草。

 

ニガナは茎や葉を切ると苦く白い液が出るため名付けられた。草原や道端に多く花期は5~7月でニガナの花弁数は5~7枚、ハナニガナは8~12枚ありハナニガナのほうが背が高い。

◎ ハンショウウヅル(半鐘蔓)

ハンショウヅルはキンポウゲ科センニンソウ属のつる性低木。花の形が昔の半鐘に似ているため名付けられた。

たまたま誰(何者)かが痛めた花があり構造がよく見えるが、花弁のように見えるのは萼でその中に花の束がある。5月中旬頃から咲きます。

花は羽毛のような実になり、そこから種子を飛ばします。

◎ ノアザミ(野薊)、キツネアザミ(狐薊)

ノアザミは春に咲くキク科アザミ属の多年草。他のアザミはほとんど秋に咲くため見分けはたやすい。道端や草地で5~6月に咲く。

 

キツネアザミは5~6月にアザミに似た薄紫色の花を付けるがアザミとは別の属に属しキク科キツネアザミ属の2年草で道端などに生え。その葉には刺がなく見分けられる。

◎ ノイバラ(野薔薇)、(夏の花:アズマイバラ(東薔薇)別名:ヤマテリハノイバラ、オオフジイバラ)

ノイバラは山野のいたるところにあるバラ科・属の落葉低木。葉裏には白い短毛があり、花はよく香り5~6月に咲く。

 

よく似た花でアズマイバラ(別名:ヤマテリハノイバラ、オオフジイバラ)があるが、こちらの葉は鋸歯がやや粗く葉裏に短毛がないため緑色が濃い。夏の花に入れた。

◎ イナモリソウ(稲森草)、ホシザキイナモリソウ(星咲稲森草)、フイリイナモリソウ(斑入稲森草)

イナモリソウ(稲森草)は山地の日影になる崖や道端などに5~6月頃小さいが淡紅色に縁取りされた可憐な花を付ける。アカネ科イナモリソウ属の多年草。名前は三重県菰野の稲森(守)山または稲森(守)谷で発見されたためといわれるが漢字表記を含めはっきりしない。

 

ホシザキイナモリソウは花被片が細くてその数が一定せず5~7枚で、イナモリソウは5枚です。高尾山で最初に発見された。 

 

フイリイナモリソウ(斑入稲森草)は葉に白い斑が入ったもので、高尾山で最初に発見された。